地理は暗記科目なのか?

私は大学受験は地理選択だった。
文系にもかかわらず、歴史科目が物凄く苦手であり、数字にも強くなかったため、地理を選択した。
もちろん、地理の問題を作成している大学自体がそもそも少ないため、受験できる大学を自ら狭めていたことになるが、まぁそれはそれだ。私は全く後悔していない。

地理という科目は、しばしば大学受験を語るうえで「楽ちん」だと言われがちだ。
それは主に理系国公立受験者が、センター試験で地理を選択することに起因する。
確かにセンター試験の地理は、読図があったり一般常識範囲内で高得点を狙える、言わば「楽ちん」科目なのである。

それはさておき。この前、知り合いとワインを飲みながら受験の話になったとき、
「地理は丸暗記だからつまらない、読図なら解けるからいいけど」
と言われた。まわりの文系は日本史世界史選択ばかりだったので、ウンウンとうなずいていた。

いやいやいやいやいや。
丸暗記?んなわけないでしょ。地理が?

思わず口に出ていた。
地理を勉強すればわかる。世界中がこの世界である理由がわかる科目だと。

そのときに話した例え話はこうだ。

今飲んでるワイン。これ、チリワインなんだけど。
ワインって言ったらフランスとかカルフォルニアとか、北半球に多いのに、何で赤道のすぐ近くなのに有名なんだろ?
理由は、チリの西側にあるフンボルト海流という寒流。寒流って冷たい海流だから、その上空の大気が冷やされる。だから雲ができにくくて、近くの土地は海が近くても乾燥する。ぶどうはある程度乾燥している土地でしか作れないから、ワインを作るのに最適だった。乾燥しているもう一つの恩恵としてアタカマ砂漠もあって、空気が澄んでて乾燥してるから世界で一番星が綺麗に見えるそうだよ。名古屋大学天文台アタカマ砂漠にあるね。

といった感じ。この話をしたら「あ~なるほど~!」と言ってもらえてとても嬉しかった。
これは「チリはワインが有名」という話から「フンボルト海流」「乾燥」「ブドウ栽培」「砂漠」という情報を芋づる式に並べただけだ。(ブドウ栽培しているのは他にも理由はあるんだけど、それは割愛する)
なぜその土地でその文化や文明、特産物なんかが発展していったかを学ぶ学問だ。その土地で育まれたものには必ず理由があって、その理由にも様々なものがある。

そういう断片的な情報が線になったときに、地理の真価が発揮されると思う。
その断片的な情報を覚える、という点では地理は暗記科目なのかもしれない。ただ人名とかじゃないし(大学受験の範囲だと主要国の近代史も学ぶので多少は覚えなければならないが)。果物とか工業製品とか河川の名前だし(震え声)。


学生時代を終えて役立ったことといえば。〇〇は■■で有名!と言われたときに、それはなぜなのかある程度推察できるようになったこと。めちゃくちゃ見当はずれなことはそうそうなくなる。社会に出て一番役立っている知識、実は地理なのでは?とは常々思っている。

ただ、なまじ知識が増えてしまったがために、ウンチク垂れ流し気味なのは本当に反省している。話したいんだもの。

え?なんで経済学部に行って地理学科に進まなかったかって?
それは聞かないでくれええええ。